2011年2月10日木曜日

朝の水くみあげくみあげあたゝかい

Santouka081130069

―四方のたより― アルブル木工教室

平林木材団地の一隅にアルブルという名の木工教室がある。
Arbre―フランス語で<樹木>、Openは08年の4月だったらしい。

ほとんどPC作業しかしない我が家の書斎机だが、ずいぶん痛みもきていたし、連合い殿の机も必要とて、手狭な空間を機能的に使えるようにと、以前から模様替えの機会を考えていたのだが、なかなか望むような机が見当たらない。
そこで、この教室に通っている知人に、机の製作を頼める人はいないかと相談したところ、関係者で受注製作をしている個人が居るとのことで、昨日の午後、依頼を兼ねて訪ねることになったのだった。

紹介された相手は、なんと偶然にも私と同姓の40歳前後とみえる男性、初会から他人と思えぬ親しみが湧く。材質や工法の説明などを聞きながら、図案も固めて、無事お願いをすることに相成る。
その後しばらくは知人に案内されて教室の様子などを見てまわる。

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本業は創業70年にもなろうという製材所で、この新しい事業をはじめた当主は昭和40年生れというから、おそらく三代目と思われる。製材業務との兼業のようだが、その転身や良しではないか。

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そういえば此処から運河に架かった小さな橋を渡れば、今は亡き辻正宏君の実家だった辻二製材があったのだが‥。
帰路、その橋のたもとにさしかかった時、懐かしい風景とともに彼の面影が脳裏をよぎった。

<日暦詩句>-18
風は強く
泥濘川に薄氷浮き
十三年春の天球は 火を噴いて
高い巻雲のへりに光つてゐる。
枯れみだれた葦の穂波
ごうごうと鳴りひびく一眸の原。
セメント
鉄鋼
電気
マグネシウムら
寂莫として地平にゐならび
蒼天下
終日人影なし。
  ―小野十三郎詩集「大阪」より「白い炎」-昭和14年-

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-150
6月7日、木下旅館

転宿、チョンビリ帰家穏座のここち。
壺を貸して下さつたので、すい葉とみつ草とを摘んで来て活ける、ほんによいよい。

小串へ行つて、買物をする、財布を調べて、考へ考へ、あれこれと買つた、茶碗、大根おろし、急須、そして大根3本、茶1袋、―合計金43銭也、帰途、お腹が空いたので、三ツ角の茶店で柏餅を喰べつつ、酒を飲みつつ、考へる。―

うつくしいものはうつくしい、うまいものはうまい、それが何であつても一銭饅頭であつてもいいのである、物そのものを味ふのだから。
飲める時には、飲める間は飲んだがよいぢやあないか、飲めない時には、飲めなくなつた場合には、ほがらかに飲まずにゐるだけの修行が出来てゐるならば。

私も酒から茶へ向ひつつあるらしい、草庵一風の茶味、それはあまりに東洋的、いや日本的だけれど山頭火的でないこともある。
茶道に於ける、一期一会の説には胸をうたれた、そこまで到達するのは実に容易ぢやない。
日にまし命が惜しくなるやうに感じる、凡夫の至情だらう、かういふ土地でかういふ生活が続けられるやうだから!
此宿はよい、ホントウのシンセツがある、私は自炊をはじめた、それも不即不離の生活の一断面だ。

※表題句の外、3句を記す

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Photo/山頭園という名で現在に残る木下旅館


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