2010年7月1日木曜日

物乞ふとシクラメンのうつくしいこと

080209285

―表象の森― いまさらこの年齢で‥
今年上半期は石川九楊の書史論に明け暮れた感だが、
このところは、PCトラブルも影響しているが、それよりも近年にない不快きわまる蒸し暑さがきわだつ梅雨空の下で、根と集中力の要る本格派読書はぐんと低調、iPad相手に「青空文庫」の諸本を-こちらは一編々々ごく短いという所為もあるのだが-、気楽に読むなど、のんびりと取り組めるものにならざるをえない。

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そんなのんびりペースのなかで軸に据えてみたいと思っているのが「数学ガール」シリーズ、いまさらこの年齢で、半世紀も前に眠りこけてしまったままの「数学センス」がいささかなりとも目覚めてくれれば、と半ば期待しつつ、そんなのもう無理にきまってるさ、と半ば諦めつ、ぼちぼち繙いてゆこうか、と。

―今月の購入本―
・結城浩「数学ガール」ソフトバンク・クリエイティブ
’02年から著者のWebで綴られてきた「数学ガール」が、若い読者らの評判と熱い支持で出版されたのが’07年、以後、’08「数学ガール-フエルマーの最終定理」、’09「々-ゲーデルの不完全性定理」と続刊され、初巻の「数学ガール」はすでに初版15刷となるベストセラー。近くは電子書籍化もされ話題になっている。ネタの多くは「コンピユータの数学」-R.L.グレアム、O.パタシュニク、D.E.クヌース-に依っているとされるが、ともあれコンピュータ科学の世界で必要とされる数学的センスが身につくこと請合いと好評。

・保阪正康「昭和史の深層」平凡社新書
「昭和史を語り継ぐ会」を主宰するという著者は、その収集した膨大な資料・記録を「昭和史講座」に集約しようと壮大な計画を試みている。本書は副題に「15の争点から読み解く」とあるように、太平洋戦争、東京裁判、南京事件、慰安婦問題、強制連行、沖縄戦、昭和天皇etc.‥各章表題を掲げ、客観的に史実を整理しつつ問題の本質を絞り込んでいく。

・前田耕作「玄奘三蔵、シルクロードを行く」岩波新書
仏法を求めてシルクロードを踏破、遥かにインドまで旅をした玄奘三蔵、それは文字通り命がけの冒険であった。じじつ彼以来、誰一人として同じ道を通ったことはなく、部分的なルートでさえ未だに踏査されていない箇所がいくつも残されているという。本書は、文化史の立場からも検討が行われ、玄奘の残した「大唐西域記」は、もはや単なる古代の旅行記にとどまらず、その正確無比な記述は考古学の手がかりになり、また人類学の貴重な記録としても精彩を放つ。

―図書館からの借本―
別冊太陽「宮本常一-『忘れられた日本人』を訪ねて」
  々 「土門拳-鬼が撮った日本」
  々 「長谷川等伯-桃山画壇の変革者」

―山頭火の一句― 行乞記再び -88
3月29日、からりと晴れてゐる、まだ腹具合はよくないが、いよいよ出立した、停滞する勿れ、行程3里、相ノ浦、川添屋

恋塚といふ姓、夫婦株式会社といふ看板、町内規約に依り押売・物貰・寄附一切御断りといふ赤札。
今晩は飲みすぎた、地球が急速度で回転した、私自身も急速度で回転した、一切が笑つた、踊つた、歌つた、そして生滅してしまつた!-此貨幣換算価値55銭-
酔ひざめの夢を見た、息づまるほど悲しい夢だつた、ああ生れたものは死ぬる、形あるものはくづれる、逢へば別れなければならない、-しかし、ああ、しかしそれは悲しいことである。

※句作は表題句のみ

佐世保市内には旧石器終末期頃の洞窟遺跡が計25箇所あるという。松浦西九州線を佐世保駅から5km余り北へ行くと泉専福寺駅があり、その駅近くには12000~3000年前といわれる世界最古級の豆粒文-とうりゅうもん-土器が出土した泉福寺洞窟がある。

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Photo/泉福寺洞窟と、復元された豆粒文土器

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佐世保市相浦町は、その泉専福寺駅から西へ8kmほど歩いたあたりの港町。

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Photo/相浦の港


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