2012年1月17日火曜日

まがらうとしてもうたんぽゝの花

Meikyu_21

-日々余話- 地震-なゐ-の句

「国一つたたきつぶして寒のなゐ」 安東次男
「白梅や天没地没虚空没」 永田耕衣
「寒暁や神の一撃もて明くる」 和田悟朗
「地震(なゐ)の夜の林檎ニッポンは滅びますか」 奥坂まや

あの阪神・淡路の震災から17年-
その歳月は被災した街をどのように変貌させてきたのか‥
朝刊の見開きには、292箇所あるという震災モニュメントマップの全容が、掲載されていた。
一方、すでに神戸市民の4割が震災を経験していない、という現実もある。

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―山頭火の一句―
其中日記-昭和9年-260

2月8日
日が射してゐたが、雪となつた、春の粉雪がさらさらとふる、もう春だ、春だとよろこぶ。
敬坊は県庁へ、私は身辺をかたづける。
朝の紅茶はおいしかつた、樹明君ありがたう。
友からあたたかいたよりのかずかず、ありがたう、ありがたう。
小鳥よ、猟銃のひびきは呪はしいかな。
老眼がひどくなつて読書するのにどうも工合が悪い、妙なもので、老眼は老眼として、近眼は近眼として悪くなる、ちょうど、彼女に対して、憎悪は憎悪として、感謝は感謝として強くなるやうに。
夕、樹明来、ハムを持つて、――敬坊不帰、ハテナ!
鰹節を削りつつ、それを贈つてくれた友の心を感じる、桂子さん、ありがたう。
年齢は期待といふことを弱める、私はあまり物事を予期しないやうになってゐる、予期することが多いほど、失望することも多い、期待すれば期待するだけ裏切られるのである。例へば、今日でも、敬坊の帰庵を待つてゐたけれど、間違なく、十中の十まで帰庵するとは信じてゐなかつた、彼も人間である、浮世の事はなかなか知れないと思ふ、だから私は今夜失望しないではなかつたけれども、あんまり失望はしなかつた、ひとりしづかにハムを食べ、ほうれんさうのおひたしを食べて、ひとりしづかに寝た、――これは敬坊を信じないのではない、人生の不如意を知つてゐるからである。
石油がきれたのには困つた、先日来の不眠症で、本でも読んでゐないと、長い夜がいよいよますます長くなるのである。
銭がほしいな、一杯やりたいな、と思つたところでいたし方もありません。

※表題句の外、17句を記す


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