2010年9月5日日曜日

石がころんでくる道は遠い

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―日々余話― 1960~、十五の春から半世紀

三日前-2日-にようやく発送を了えた高校同期会の総会案内。
入学が1960年だったから、今年でちようど50年が経ったことになるので、案内の表題をかようにした。

「1960〜 十五の春から半世紀。」
ICHIOKA 青春のはじまり、あの頃ぼくらは21世紀に生きることなど想像の埒外だった。

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このたびは、特別ゲストとして現役の高校生たち「吹奏楽部」に出演してもらう予定なのだが、そんな企画や入学から50年ということもあって、幹事諸氏には遠い昔となった高校生活を振り返って、市岡時代の今も鮮やかに記憶に残ることなどを、短いコメントとして書いて貰って、案内紙面に網羅することにした。結果18のコメントが並ぶことになった。
そのいくつかを紹介しよう。

「60年安保でゆれた高一生活! 高三の文化祭でのあのフォークダンス!! 未だに青春が生きてます!!!」
「入学当初は野田阪神前から路面電車通学でした。いつから環状線に乗るようになったか思い出せません」
「ホームルーム、文化祭、フォークダンスetc.…、そして50年経っても青春を語れる友を得た」
「先生と生徒の間が友達のように近くて驚きでした。私の通った中学は厳格すぎたのか? ありえないことでした」
「初めての革靴と市電通学、ESS、先生方のお顔‥。文化祭で生物部の血液型判定O型が、成人後AB型と判明!?」
「2時間連続のロングホームルームで靱公園等へ出かけたり、与えられたテーマで討論会をしたこと」
「一年生の遠足の岩涌山ハイキング、喉は渇くワ、きついワ、翌日からは筋肉痛になるワ、の苦行でした」
「演劇部の部室、照明用ライトで弁当を暖め早飯。昼休みはフルタイムで遊ぶ。試験中の卓球三昧でずいぶん上手くなった」
「チャイムと同時に教室に入る手島先生に、一歩負けて何度も遅刻になり悔しかった事!」
「昭和36年9月16日の第二室戸台風、自宅床上浸水、泥水の中登校、教室も浸水、壁の白片が散らかっていた」
「アルバムの中で着用している夏の制服、家庭科の授業で悪戦苦闘しながら頑張って仕上げた作品です」etc.

そして私のは、「入学まもない6.19、200人ほどの生徒らが気勢を上げながら校庭を周回して御堂筋デモへ。心ざわめきつつ3階の講堂の窓からただ眺めやっていたぼく‥」と。
特活や全校集会で安保議論が熱を帯びていった当時、演劇部だった私には新人公演の稽古が重なっていたから、御堂筋デモへ参加すべく気勢を上げている200人ばかりの集団を、講堂の窓から眺めやるしかなかった訳だが、その中に同じクラスの何人かの顔馴染みを見出しては、あちらとこちら、その距離がなんだか居心地の悪さやら落ち着かなさをもたらしたのだろう、忘れ得ぬ光景としていまも鮮やかに残っているのだ。

―山頭火の一句― 行乞記再び -100
4月10日、曇后晴、行程8里、唐津市、梅屋

8時から6時まで歩きつづけた、黒川と波多津とで行乞、海岸路山間路、高低曲折の8里を歩いて来たのだから、山頭火いまだ老いず矣-但し途中キツケ水注入-。-略-
さすがに田舎は気持がよい、手掴みで米を出すやうな人もなく、逢ふ人はみな会釈する、こちらが恥づかしくなるほどだ。
御大典記念の時計台がこしらへてある、いい思ひつきだけれど、あんなところにこしらへたのが、さて、どりくらゐ役立つだらうかとも考へられる。
今日、はじめて蟇を聞き蛇を見た。
やつぱり南国の風景は美しすぎる、築山のやうな山、泉水のやうな滝、‥まるで箱庭である。
山ざくらはもう葉ざくらとなつてゐた。
山村のお百姓さんはほんたうによく働いてゐる、もつたいないと思つた、すまないと思つた。
同宿4人、二人は夫婦、仲のよいことである。
今夜の酒はうまかつた、酒そのものはあまりよくないのに。

さつそく留置郵便をうけとる、どれもありがたかつたが、ことに緑平老のそれはありがたかつた。
私は何も持つてゐない、ただ友を持つてゐる、よい友を持つてゐることは、私のよろこびであり、ほこりでもある。
緑平老のたよりによれば、朱鱗洞居士は無縁仏になつてしまつてゐるといふ、南無朱鱗洞居士、それでもよいではないか、君の位牌は墓石は心は、自由俳句のなかに、自由俳人の胸のうちにある。-略-
人間に対して行乞せずに、自然に向かつて行乞したい、いひかへれば、木の実草の実を食べてゐたい。

※表題句の外、7句を記す

伊万里の中心街から唐津街道-国道204号線-を歩くと唐津市までほぼ32km余、8里である。伊万里市の黒川町、波多津町あたりまでは海岸線が続き、以後は長い山間路となる。

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Photo/黒川町には、嘗て大阪市内の木津川筋にあった名村造船が昭和49年から移転している

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Photo/波多津の近く、高尾山公園から望む伊万里湾風景


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Photo/波多津から福島へと橋を渡れば、名高い土谷の棚田がある
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