2010年9月19日日曜日

春あおあおとあつい風呂

Santouka081130049

-日々余話- きしもと学舎だより

些か旧聞になるが、ネパールの「きしもと学舎だより」-vol.12-が8月に出されていたのだが、ここに紹介しておこう。

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2面には彼、岸本康弘の古い詩集-1977年発行というからもう33年も前だ-から一篇の詩が掲載されている。

「地球のヘソのあたりで」

闇を一瞬 光をかえて
夜行列車が走りすぎて行く
それを見送るのが ぼくは好き
闇の底に沈んで行くテールランプを見つめてるのが好き
そう
大地を汽車が走りつづける
数々のロマンや悲しみを創るために
地上をひたすら駆けまわっている

今も生れようとしている
そしてとにかく
生きつづけている
人間・ぼくは生きつづけている
地球のヘソのあたりで
エロスの香りをかぎながら。

ヘソは観念ではない
生きることである
創-キズ-をつくり
血を流し
汗を流し
もだえて
三十何年 生きつづけた今
ぼくは 地球のヘソのありかを知った

歌とは腹の底からうったえる(訴える)ことからきているという
そしてヘソは 体内の神経が集中しているところだという

ぼくは
地球のヘソのあたりで
根限り生きまくる
腹から地声をはりあげて
へたなうたを歌いつづける!

―山頭火の一句― 行乞記再び -103
4月13日、晴、行程2里、前原町、東屋

からりと晴れ、みんなそれぞれの道へゆく、私は一路東へ、加布里、前原を5時間あまり行乞、純然たる肉体労働だ、泊銭、米代、煙草銭、キス代は頂戴した。
今朝はおかしかつた、といふのは朝魔羅が立つてゐるのである、山頭火老いてますます壮なり、か!

浜窪海岸、箱島あたりはすぐれた風景である、今日は高貴の方がお成になるといふので、消防夫と巡査で固めてゐる、私は巡査に追はれ消防夫に追はれて、或る農家に身を潜めた、さてもみじめな身の上、きゆうくつな世の中である、でも行乞を全然とめられなかつたのはよかつた。

初めて土筆を見た、若い母と可愛い女の子とが摘んでゐた。
店のゴム人形がクルクルまはる、私は読経しつづける。
犬ころが三つ、コロコロころげてきた、キッスしたいほどだつた。
孕める女をよく見うける、やつぱり春らしい。
日々好日に違ひないが、今日はたしかに好日だつた。

此宿は見かけよりもよかつた、町はづれで、裏座敷からのながめがよかつた、遠山の姿もよい、いちめんの花桑畑、それを点綴する麦畑-此地方は麦よりも菜種を多く作る-、その間を流れてくる川一すぢ、晴れわたつた空、吹くともなく吹く風、馬、人、犬、-すべてがうつくしい春のあらはれだつた。-略-

酒については、昨日、或る友にこんな手紙を書いた。-
「‥酒はつつしんでをりますが、さて、つつしんでも、つつしんでもつつしみきれないのが酒ですね、酒はやつぱり溜息ですよ-青春時代には涙ですが、年をとれば-、しかし、ひそかに漏らす溜息だから、御心配には及びません。‥」

※句作は表題句のみ

佐賀から福岡へと県境を越えた。

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Photo/福岡県志摩町の陸続きにある箱島神社

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Photo/福岡県前原市、加布里の漁港


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