2011年9月10日土曜日

また逢ふまでのくつわ虫なく

Santouka081130098

―表象の森― <日暦詩句>-45


 「眼」  西脇順三郎

白い波が頭へととびかゝつてくる七月に
南方の奇麗な町をすぎる。
静かな庭が旅人のために眠つてゐる。
薔薇に砂に水
薔薇に霞む心
石に刻まれた髪
石に刻まれた音
石に刻まれた眼は永遠に開く。

  ―詩集「Ambarvalia」所収-昭和9年-


―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-244

9月10日、とうとう徹夜してしまつた、悪い癖だと思ふけれど、どうしてもやまない、おそらくは一生やまないだらう、ちようど飲酒癖のやうに。 -略-
身辺に酒があると、私はどうも落ちつけない、その癖あまり飲みたくはないのに飲まずにはゐられないのである、且浦で酒造をしてゐる時、或る酒好老人がいつたことを想ひだした、-ワシは燗徳利に酒が残つてをつてさへ、気にかかつて寝られないのに、何と酒屋は横着な、六尺の酒桶を並べといて平気でゐられたもんだ、―酒に「おあづけ」はない! -略-
今夜は此部屋で十日会-小郡同人の集まり-の最初の句会を開催する予定だつたのに、集まつたのは樹明さん、冬村さんだけで-永平さんはどうしたのだらう-、そして清丸さんの来訪などで、とうとう句会のほうは流会となつてしまつた、それもよからうではないか。
みんなで、上郷駅まで見送る、それぞれ年齢や境遇や思想や傾向が違ふので、とかく話題はとぎれがちになる、むろん一脉の温情は相互の間を通うてはゐるけれど。 -略-
焼酎のたたりだらう、頭が痛んで胃が悪くなつた、じつさい近頃は飲みすぎてゐた、明日からは慎まう。

※表題句の外、6句を記す

09101
Photo/北の旅-2000㎞から―富良野麓郷、五郞の石の家-’11.07.25


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