2010年6月7日月曜日

春が来た旅の法衣を洗ふ

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―世間虚仮― Soulful Days-39-予想外、重い判決

自動車運転過失致死傷事件、M被告の判決が下された。

「禁固1年、執行猶予3年」

前回の公判で、検察の求刑は実刑の禁固1年というものであったのだが、Mに対しもっと軽微な刑を望んでいた被害者側としては、下された判決は予想外に重いものとなった。

判決主文に付し、補足的に語られた裁判官の説明のなかで、私としては聞き逃しがたい事実関係が語られていた。
それは検察が当初より主張していた、右折しようとしていた被告Mが、直進のT車に気づいた時点が、事故発生の2秒前であり、直後にMが制動動作に入ったものの、この時点では事故の避けようがなかったことを、徐行時速や距離関係の数値を挙げて詳細に解説したものであったが、この論理構成自体裏返せば、私が検察などで主張してきたように、ほんとうに2秒前の時点でMが直進のT車に気づいたのであれば、このときMは制動などせずそのまま右折行為を遂行しさえしておれば、事故が起こるはずもなかった距離関係なのだという矛盾を孕んだものなのだが、そのことにはいっさい触れず、事実関係の構成論理としてわざわざ裁判官が言及したことは、前回公判においてドライブレコーダーの記録動画が証拠資料として検察から提出され、わざわざこれをTV画面で検証したことと併せて、裁判官と検察の両者合同による作為を感じさせずにはおかないものである。

ところで、平成21年度犯罪白書によれば、自動車運転致死傷事件-H20年度総件数737,396件-で公判請求されたものは、0.9%の6636件である。要するに6600件余りが起訴され法廷で裁かれた。その判決内容は、6ヶ月以上10年未満の実刑判決が9.7%、残りの90.3%が執行猶予判決だが、その内訳は6ヶ月未満0.6%、6ヶ月以上1年未満22.3%、1年以上2年未満54.0%、2年以上13.4%となっている。
また、飲酒や酒気帯びなどが絡んだ危険運転致死傷事件においては、H20年総件数307件で、内75.9%の267件が公判請求され、96件が実刑判決、171件が執行猶予判決、2年以上の執行猶予は267件中の60件、22.5%となってており、
これらの統計に照らせば、このたびのMへの判決は、その重さにおいて実刑と執行猶予の2年以上を足した23.0%の範囲内にあり、これは危険運転致死傷事件における2年以上の執行猶予件数とほぼ同値となり、危険運転致死傷の場合でさえ2年以下の執行猶予判決が46%もあるという事実と照らせば、かなり厳しいものと言わざるを得ない。

犯罪事件における、警察の捜査、検察による起訴等の処分、そして裁判所の公判及び判決、これら司法三セットの構造システムが、被疑者の人権を守りつつも、つねに夥しい数の事案を処理しなければならぬという状況下で、いかに効率よい処理能力が求められているかを思いやれば、被告自身が根幹の事実関係を争うという訳でもなく、このたびの私などのように、明々白々の事実でもって異議申立てが出来る訳でもなく、少なくとも彼ら司法サイドから見れば、いかにも中途半端な事実認定への疑問なんぞで、本来ならたった1回の公判であとは判決言渡しとなるケースを、さらに余分の公判を煩わせたがために、謂わば見せしめ的に刑が重くせられたのではないか、とそんな下司の勘ぐりもしたくなるような判決ではあった。

―山頭火の一句― 行乞記再び -77-
3月15日、16日、17日、18日、滞在、よい湯よい宿。

朝湯朝酒勿体ないなあ。
余寒のきびしいのには閉口した、湯に入つては床に潜りこんで暮らした。
雪が降つた、忘れ雪といふのださうな。
お彼岸が来た、何となく誰もがのんびりしてきた。-略-

方々からのたより-留置郵便-を受取つてうれしくもありはづかしくもあつた、味々、雅資、元寛、寥平、緑平、俊の諸兄から。
緑平老の手紙はありがたすぎ、俊和尚のそれはさびしすぎる、どれもあたたかいだけそれだけひとしほさう感じる。

ここに落ちつくつもりで、緑、俊、元の三君へ手紙をだす、緑平老の返事は私を失望せしめたが、快くその意見に従ふ、俊和尚の返事は私を満足せしめて、そして反省と精進とを投げつけてくれた。

とにもかくも歩かう、歩かなければならない。
ここですつかり洗濯した、法衣も身体も、或は心までも。-略-

※表題句の外、3句を記す

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Photo/10年前から催されている嬉野温泉の冬の風物詩「うれしのあったかまつり」における灯籠の群れと、面浮立-メンブリュウ-の踊り

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Photo/嬉野茶の歴史は古く、永享12年(1440年)平戸に渡来してきた唐人が不動山皿屋谷に居住して陶器を焼くかたわら、自家用にお茶を栽培したのがはじまりといわれ、その製法は、日本でも珍しい釜炒り茶製法の流れをくんだ、蒸製玉緑茶が主流、とか。

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嬉野茶の声価は日本的-宇治に次ぐ-、玉露は百年以上の茶園からでないと出来ないさうである、茶は水による、水は小川の流れがよいとか、茶の甘みは茶そのものから出るのではなくて、茶の樹を蔽ふ藁のしづくがしみこんでゐるからだといふ、上等の茶は、ぱつと開いた葉、それも上から二番目位のがよいさうである。


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