山頭火つれづれ-四方館日記
漂白放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じつづけている林田鉄の日々勿忘草
2011年7月27日水曜日
暑さ、泣く子供泣くだけ泣かせて
―四方のたより―
北の大地へ―第4日
摩周湖から野付半島へ、羅臼を経て知床五湖へ
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知床
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宿泊地―知床半島岩尾別温泉、ホテル地の涯
―山頭火の一句―
行乞記再び-昭和7年-199
7月27日、今日は土用の丑の日。
鰻どころか一句もない一日だつた!
だが、夕方になつて隣室から客人から蒲焼一片を頂戴した。
まことに夢ひときれの丑の日だつた!
だから駄句一つの一日でもあつた!
※表題句の外、句作なし
Photo/川棚、大楠の森の若宮-’11.04.30
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何と涼しい南無大師遍照金剛
日ざかり、われとわがあたまを剃り
あおむけば蜘蛛のいとなみ
炎天のポストへ無心状である
暑さ、泣く子供泣くだけ泣かせて
水底の雲から釣りあげた
押売が村から村へ雲の峰
夾竹桃、そのおもひでの花びら燃えて
事がまとまらない夕蝉になかれ
虫のゆききのしみじみ生きてゐる
伸ばしきつた手で足で朝風
紫陽花もをはりの色の曇つてゐる
はだかではだかの子をだいてゆふべ
朝からぴよんぴよん蛙
雲がいそいでよい月にする
朝の土から拾ふ
あすはよいたよりがあらう夕焼ける
水をたゞようて桐一葉
ひとりなれば山の水のみにきた
なく蠅なかない蠅で死んでゆく
ふたゝびこゝに花いばら散つてゐる
ゆふべのラヂオの泣きたうなつた
おちつかない朝の時計のとまつてる
墓に紫陽花咲きかけてゐる
畦豆も伸びあがる青田風
ほつくりぬけた歯を投げる夕闇
明日は出かける天の川まうへ
山路はや萩を咲かせてゐる
みんな売れた野菜籠ぶらぶら戻る
ほつくりぬけた歯で年とつた
何でこんなにさみしい風ふく
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