2011年8月8日月曜日

秋草や、ふるさとちかうきて住めば

Dc091226123

―表象の森― <日暦詩句>-40

 「卵」  吉岡実

神も不在の時
いきているものの影もなく
死の臭いものぼらぬ
深い虚脱の夏の正午
密集した圏内から
雲のごときものを引き裂き
粘質のものを氾濫させ
森閑とした場所に
うまれたものがある
ひとつの生を暗示したものがある
塵と光りにみがかれた
一個の卵が大地を占めている

  -吉岡実詩集「静物」-昭和30年-より


―山頭火の一句―
行乞記再び-昭和7年-211

8月8日、川棚温泉、木下旅館。
立秋、雲のない大空から涼しい風がふきおろす。
秋立つ夜の月-7日の下弦-もよかつた。
5、6日見ないうちに、棚の糸瓜がぐんぐん伸んて、もうぶらさがつてゐる、糸瓜ういやつ、横着だぞ!
バラツク売家を見にゆく、其中庵にはよすぎるやうだが、安ければ一石二鳥だ。
今日はめづらしく一句もなかつたが、それでよろしい。

※表題句は8月7日の句

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Photo/北の旅-2000㎞から―苔の洞門-’11.07.25


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