2011年8月29日月曜日

風のトマト畑のあいびきで

Santouka081130095

―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-232

8月29日、厄日前後らしい空模様である、風のために木まで動く、炊事、掃除、読書、なかなか忙しい。
処方の知友へ通知葉書を出す、三十幾つかあって、ずゐぶん草臥れた。-略-
新居第一日に徹夜して朝月のある風景ではじまつた。
あせらずにゆうゆうと生きてゆくこと。
夜おそく、樹明兄来訪、友達と二人で。
いろいろの友からいろいろの品を頂戴した。樹明兄からは、米、醤油、魚、そして酒!
友におくつたハガキの一つ。-
「何事も因縁時節と観ずる外ありませんよ、私は急に川棚を去つて当地へ来ました。庵居するには川棚と限りませんからね。ここで水のよいところに、文字通りの草庵を結びませう、さうでもするより外はないから。山が青く風が涼しい、落ちつけ、落ちつけ、おちつきませう。」
いつとなく、なぜとなく-むろん無意識的に-だんだんふるさとへちかづいてくるのは、ほんとうにふしぎだ。
野を歩いて、刈萱を折つて戻つた、いいなあ。
どこにもトマトがある、たれもそれをたべてゐる、トマトのひろまり方、。たべられ方は焼芋のそれを凌ぐかも知れない、いや、すでにもう凌いでゐるかも知れない。

※表題句の外、3句を記す

08291
Photo/北の旅-2000㎞から―小樽運河、中央橋より-’11.07.30


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